発作がおきたら
最も重要なポイント
となる発作時の対応について、
緊急性の高いものから順に説明しますので、
必ずチェックしておきましょう。
- 監修
- 北里大学病院 小児科 診療教授
- 岩﨑 俊之 先生
発作のタイプ
-
単純部分発作
意識はあり、からだの一部が
ひきつる、ピクピクします。また、からだの一部がヒリヒリ、
チクチクすると感じることもあります。 -
複雑部分発作
ボーッとして、意識がはっきりとせず、口をもぐもぐさせる、
口をペチャペチャならす、周囲を歩き回るといった行動がみられることがあります(自動症)。
発作後、もうろうとした状態が続くことがあります。 -
欠神(けっしん)発作
意識を失いボーッとする、会話や動作が中断するといった症状がみられます。
発作の始まりと終わりがはっきりしない場合もあります。
数秒〜数十秒続きます。 -
ミオクロニー発作
全身あるいは手足が一瞬ピクッとする発作で、物を落とすことがあります。
-
脱力発作
急にからだの力が抜けて、物を落としたり、からだごと前や後ろに倒れてケガをすることがあります。
-
強直(きょうちょく)発作
全身に力が入り、突っ張った状態になります。また、倒れることもあります。
発作時間は数秒〜1分以内です。
頭部や上半身を屈曲(くっきょく)するだけの数秒の短い発作もよくみられます。 -
間代(かんたい)発作
からだが律動(りつどう)的に
ピクピク、ガクガクする症状がみられます。 -
強直間代(きょうちょくかんたい)発作
突然意識を失って強直発作がおこり、
その後に間代発作がおこります。
発作が持続して止まらない、
あるいは意識が回復する前に発作が繰り返しおこる状態です。
強直発作、間代発作、強直間代発作が主体のけいれん性てんかん重積状態と、 欠神(けっしん)などが主体の非けいれん性てんかん重積状態があります。
発作がおこったときは
まずは気持ちを落ち着かせて冷静になりましょう。
いつもの発作であれば、担当医師の指示通りに対処し、ケガをしないように注意して見守りさえすれば、あわてることはありません。
口にタオルをかませたり、箸を入れたりすると、
窒息してしまったり口の中を傷つける恐れがあるので、絶対にしないようにしましょう。
衣服をゆるめて、気道を確保してください(下顎挙上など)。
吐物による窒息を避けるために横向きに寝かせることも重要です。
けいれんの発作様式や持続時間を記録(携帯電話やスマートフォンの動画が便利)すれば、担当医の先生に見ていただきながら説明できます。
5分前後で救急車を呼ぶか否かを判断しましょう。
- ●5分たっても、発作がおさまらない。
- ●発作が頻発(ひんぱつ)する。とくに意識が回復しないうちに次の発作がおこる。
- ●特に顔色が悪く、呼吸が不規則な状態が続く。
- ●親御さんが対応できない、あるいは不安でどうして良いか分からない場合。
上記のような症状がみられたら、救急車を呼んで冷静に速やかに対処しましょう。
また、病気の状況やかかっている病院を救急隊へも伝えましょう。
発作への対処法
けいれん発作がおこったときは
- ● 家具や危険なもの(鋭利なもの、ストーブや熱湯など)を遠ざけてください。
- ● 衣服のえりなどをゆるめて下さい。
- ● 食事中や食後に発作がおきた場合は、食物がのどにつかえたりしないようにしてください。
- ● 発作中、または発作後に嘔吐(おうと)することがあるため、 吐きそうになったらゆっくり顔を横に向けて、吐物がのどにつまらないようにしてください。
意識がぼんやりする発作がおこったとき
- ● 危険なものを遠ざけてください。
- ● 意識が回復するまで近くで見守って、意識が戻ったことを必ず確認してください。
- ● 倒れそうなときには支えて座らせるなどしてください。
- ● 突然の発作で転倒することがあります。転倒した時にケガをしないように、 普段から家の中を整理整頓して、タンスの上に物を置かないようにしましょう。
- ● 外出の際には安全のため、保護帽(ヘッドギア)の使用も考慮しましょう。
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外出する時にも使える、おしゃれな保衣帽もあります
写真提供 / 株式会社 特殊衣料
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発作の観察と記録をしましょう
適切な対処と治療を行うためには、どのような発作があらわれるか、
できるだけ詳しく把握することが大切です。
発作がおきた時は、下記のポイントを参考に発作の観察・記録を行いましょう。
また、携帯電話やスマートフォンの動画で記録出来れば、 担当医師に見ていただきながら正確に説明出来ます。
発作の観察・記録のポイント
- 時刻
- 発作がおこった時間
(目が覚めているとき、眠気のあるとき、睡眠中、起床時 など)
- 発作のタイプ
- どのような発作がおこったか
(強直発作、脱力発作、非定型欠神 など)
担当医師と相談の上、
あらかじめ発作ごとに記号
(○、×、△ など)を決めておくと良いでしょう。
- 状況
- 発作がおこったときの状況
(発熱があった、疲れていた、睡眠不足であった など)
その他に以下の情報も治療に役立ちます
- 発作の始まり
- 発作が始まったときの状態
(意識の有無、転倒、けいれん、手足がピクッとしたなど)
- 発作の経過
- 発作がどのように進展したか、
どのくらい持続したか
(目、頭、からだの動き、表情・顔色、けいれんの部位 など)
- 発作後の様子
- 発作が落ち着いたときの状態
(意識が戻った、眠ってしまった、興奮していた、もうろうとしていた など)
てんかん相談先施設
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症状が現れたらどんな病因の何科を受診すれば良いでしょうか?
てんかんはあらゆる年齢で発症する病気ですので、 てんかんが疑われる症状が現れたら、 子供ならまずはかかりつけの小児科、思春期を過ぎたら 神経内科や脳外科、精神科を受診します。
てんかんの発作と紛らわしい症状を示す他の病気も数多くあります。
症状が現れたら、まずは早めにお近くのかかりつけ医や病院を受診しましょう。
てんかん治療専門医
てんかん治療には専門知識が必要になる場合があります。日本てんかん学会のホームページでは、学会より認定されたてんかん専門医の情報が公開されています。
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