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一緒に「発作ゼロ」を目指しましょう 〜Vol.3〜

てんかん みんなのお役立ち

発作をなくせば普通の人と同じ

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 私は、てんかん発作消失の基準を「投薬を終了して2年半、発作が起こってないこと」と厳しく設定しています。背景には、再発の危険性についてのエビデンスに基づいているだけではなく「これだけの期間症状が出なかったのだから、普通の健康な人と変わらない」という自信を患者さんに持ってほしいという思いもあります。

 発作がなくなれば、通学、運転免許の取得、就職、結婚、妊娠、出産と選択肢は広がっていきます。単剤治療が理想的であることは言うまでもありませんが、発作をゼロに抑え込むために、効き方の異なる数種類の薬を併用してもらう場合もあります。それだけ徹底して薬物治療に取り組めば、手術など次の治療ステップにも納得して進めると思います。

 長期間の治療を続けるには、たとえお子さんであっても「治す」という覚悟が要求されます。同時に、自分の意思を医療者に伝えることも大切です。「こんなことを言ったら、医師との関係が悪くなるのでは」と遠慮をしてしまうケースは少なくありません。しかし、私は本音で話したいし、患者さんや親御さんにも本音で話していただきたいと思っています。

 ある時、若い女性の患者さんが口にした「先生、私って結婚できるのかな」という言葉は、ずっと私の心に刺さっていました。彼女は10数年にわたって痙攣の症状があり、「睡眠中に痙攣が起これば、結婚相手と安心して暮らすことはできない」と悩んでいました。手術を選択したほうが楽になるのではないかと勧めたこともありましたが、本人の強い希望でできませんでした。

 しかし、彼女は私とともに辛抱強く薬物治療に取り組み続け、とうとう症状を抑制することに成功しました。もう1年以上痙攣は起こっていません。彼女が、治療への覚悟を持ち自分の意思を医療者に伝えたことが、この結果につながったと思っています。